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【低血糖対策まとめ】低血糖の改善のためには結局何をしたらいいのか?

栄養療法では多くの人が最初にクリアしておくべき課題である低血糖。

低血糖の影響は実にさまざまです。

  • 交感神経が緊張して胃腸の蠕動運動や消化液の分泌が低下する→栄養素の吸収が低下する
  • コルチゾールの過剰な分泌→副腎疲労の悪化や腸管免疫の低下が起こる
  • 甘いものが我慢できない→カンジダ除菌治療への影響
  • 低血糖による疲労や自律神経への影響→治療に取り組むことができない

低血糖の改善なしには栄養療法は先に進まないと言っても過言ではありません。

そこで今回は、誰でも簡単に取り組めるような低血糖対策についてまとめてみました。

目次

低血糖とは?−主に2つのパターンに分類できる

まず血糖値について。

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことです。
食事の影響などにより変動しますが、空腹時の血糖値はだいたい90mg/dlあたりが正常とされています。

ブドウ糖は全身の細胞のエネルギー源となるため、血糖値が低下した低血糖状態というのは、身体にとっては「死ぬかもしれない」というかなり緊迫した状態です。

低血糖により倦怠感、集中力の低下、不安、イライラなど様々な症状が現れます。

低血糖が引き起こす症状についてはこちらを参照!

低血糖にはいくつかのパターンがあり、主に次の2種類に分類することができると思います。

反応性低血糖

反応性低血糖とは、食後の急激な血糖値の上昇の後で、その反動により血糖値が急激に低下することです。

血糖値の変動を表したグラフ

グラフの赤い点線で囲っている部分は、反応性低血糖を起こしています。

食事の時間が空きすぎることによる低血糖

食事により血糖値が維持できる時間は、せいぜい2〜3時間程度と言われています。
それ以外の時間帯はグリコーゲンの分解や、コルチゾールの作用により血糖値が維持されています。

しかし、これらの血糖値を維持する機能にも限界があるため、食事の時間が空きすぎると血糖値が低下してしまいます。

低血糖を表したグラフ

このグラフでは、昼食と夕食の間が空きすぎているため、夕食前に低血糖が起こっています。

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低血糖の原因

次に低血糖が起こる原因についてです。
原因としては、次の3パターンが多いと思います。

糖質の過剰摂取

糖質、特に砂糖、果糖などの単純糖質の摂取量が多いと起こる低血糖のパターンです。

デンプンなどの多糖類に比べて単純糖質は消化吸収のスピードが速いため、その分血糖値の上がり方も速くなります。

単純糖質とデンプンの構造
糖質は消化酵素によりブドウ糖や果糖まで分解されてから吸収される。
デンプンは端っこから順番にブドウ糖へ分解されていくため、消化に時間がかかる。

血糖値の急上昇にともなってインスリンが大量に分泌されます。
その結果、血糖値が下がりすぎてしまうということが起きてしまいます。

低血糖のパターンとしては下図のような反応性低血糖になります。

血糖値の変動を表したグラフ

インスリンの分泌異常

血糖値はインスリンの作用により低下します。

厳密に言うと、インスリンの作用によって細胞にブドウ糖が取り込まれることで血糖値は低下していきます。

インスリンの働きについてはこちらを参照!

しかし、細胞がインスリンに対してうまく応答できない状態(インスリン抵抗性)になると、なかなか血糖値は低下しません。

血糖値が低下しないためインスリンの分泌は続き、結果的に過剰にインスリンが分泌されることになります。

過剰なインスリンにより、ブドウ糖が細胞内へ大量に取り込まれて血糖値が下がりすぎてしまいます。

低血糖のパターンとしては、下のグラフのような感じで、反応性低血糖と同じような形になります。

血糖値の変動を表したグラフ

ちなみに細胞内に取り込まれたブドウ糖は、基本的にはエネルギーに変換されますが、余ったものは中性脂肪へと変換されて貯蔵されます。
つまり、血糖値の急上昇やインスリン抵抗性は、肥満の要因となってしまいます。

血糖値が維持できない

先ほども記載しましたが、食事により血糖値が維持できる時間はせいぜい2〜3時間程度で、それ以外の時間帯はコルチゾールなどのホルモンやグリコーゲンにより血糖値が維持されています。

ここに問題が生じることにより、低血糖が起こることがあります。

グリコーゲンとは肝臓や筋肉に存在し、ブドウ糖の貯蔵庫の役割があります。
先ほどのデンプンがいくつもつながったような構造をしています。

デンプン、グリコーゲンの分子構造

血糖値が低下してくると、グリコーゲンがブドウ糖に分解されて血液中に供給されることにより血糖値が維持されます。

つまり、グリコーゲンの貯蔵がうまくいっていないと低血糖が起こりやすくなります。

グリコーゲンの貯蔵がうまくいかない原因として多いのは、食事量が少ない、欠食・糖質制限をしているなどです。

コルチゾールはタンパク質からブドウ糖を作り出すホルモンで、血糖値を維持する上で非常に重要なホルモンです。

コルチゾールは、副腎疲労により分泌が低下することはよく知られています。

副腎疲労、コルチゾールの詳細についてはこちらを参照!

コルチゾールの過剰な分泌が続くことにより副腎疲労になるわけですが、コルチゾールの過剰分泌を招く要因としてはやはり低血糖だと思います。

欠食や食事制限により血糖値が低下すると余分にコルチゾールが必要になり、これが慢性化すると副腎疲労になる、という感じです。

つまり、低血糖と副腎疲労はお互いに助長し合う関係というわけです。

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低血糖対策まとめ

低血糖の対策としては、次の3種類に分類できるかと思います。
ひとつずつ解説していきます。

食事の改善

血糖値の急激な上昇は、インスリンを大量に分泌させて反応性低血糖を引き起こします。

つまり、血糖値を急上昇させないような食事を心がけることが重要です。

また、食事の内容によっては血糖値の維持機能に悪影響を与えることがあるため、そちらにも注意する必要があります。

精製糖質、単純糖質を減らす

精製糖質の摂取が多いと血糖値が上昇しやすくなります。
理由はこのような感じです。

精製糖質を摂ると低血糖が起こりやすくなる理由
  • 糖質代謝にはビタミンB群やマグネシウムなど様々な栄養素が必要になる。
  • 穀物(糖質)には糖質代謝に必要な栄養素が豊富に含まれているが、精製することで除去される。
  • 砂糖や白米などの精製糖質の摂取が多いと、糖質代謝に必要な栄養素が枯渇。
  • その結果、糖質代謝が滞って血糖値が上昇する。

なので、糖質はなるべく精製度の低いもの(玄米、分づき米、黒砂糖など)を選ぶといいでしょう。

また、低血糖が起こる原因のところでも記載しましたが、単純糖質(砂糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖など)は消化吸収のスピードが速く、血糖値を急激に上昇させます。

これらの単純糖質は調味料や菓子類などによく使われています。
成分表示の記載を確認し、こういったものを含む食材の摂りすぎには注意しましょう。

食べ方ひとつでも血糖値の上昇の仕方は変わる

まず、食べる順番です。

糖質から最初に食べ始めると血糖値は上がりやすくなります。

ざっくり言うと、この順番で食べると血糖値は上昇しにくくなります。

食物繊維→タンパク質 or 脂質→糖質

また、食べ物をしっかり噛むことも重要です。

血糖値を上昇させないために咀嚼が重要な理由
  • 早喰いは血糖値を急上昇させるし、食べ過ぎを招く。
  • 咀嚼回数を増やすことで早喰いを防ぐことができる。
  • ひとくち30回程度噛むことを目安にしてみよう。

食べ方を一工夫するだけでも血糖値の上昇を防ぐことができるので、ここは意識しておいた方がいいでしょう。

カフェインを減らす

そもそもなぜカフェインが欲しくなるのか?

カフェインが欲しくなる理由
  • カフェインが欲しくなる場合、低血糖を起こしていることが多い。
  • カフェインは強制的にコルチゾールを分泌させて血糖値を上昇させる。
  • つまり、カフェインで血糖値を上昇させて無理やり体を動かそうとしている。

ついついコーヒーやエナジードリンクが飲みたくなる場合は、低血糖を起こしている可能性があります。

しかし、日常的にカフェインを摂取しているとコルチゾールの分泌は徐々に低下していきます。

結果的に血糖値を維持することが困難になるため、カフェイン入りの飲料や食べ物はなるべく減らした方がいいでしょう。

カフェインを含む食べ物・飲み物

コーヒー、紅茶、玉露、抹茶、緑茶(煎茶)、ほうじ茶、ウーロン茶、プーアル茶、マテ茶、ジャスミン茶、玄米茶(ほうじ茶/緑茶ブレンドのものにはカフェインあり、玄米のみのものならカフェインなし)、栄養ドリンク、 エナジードリンク、コーラ、ココア、チョコ

これらのものは、たまに摂るくらいであれば問題はありません。

血糖値が安定してくればカフェインなしでも生活できるようになるため、低血糖の改善に取り組みながら徐々にカフェインを減らしていくのがいいでしょう。

欠食をしない

欠食は低血糖を引き起こす大きな要因になります。

食事の時間が空きすぎると低血糖を起こしますし、なによりグリコーゲンの補充ができません。

低血糖を表したグラフ

忙しくてまともに食べる時間がないという人は、あとで紹介する補食のテクニックも参考にしてみてください。

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インスリン抵抗性の改善

インスリン抵抗性は、結果的にインスリンの大量分泌を招いて低血糖を引き起こします。

インスリン抵抗性の改善には運動も重要ですが、今回は栄養面について解説していきます。

ビタミンD、マグネシウム、亜鉛

インスリン抵抗性の改善に役立つ栄養素はさまざまありますが、これらの栄養素は特に重要です。

ビタミンD、マグネシウム、亜鉛の働き
  • ビタミンDはインスリンの合成に関わり、インスリンの分泌の調整もおこなう。
  • 亜鉛はインスリンの合成に不可欠な成分。
  • マグネシウムは、インスリンの刺激に対して細胞が反応する際に必要になる。

いずれも非常に不足しやすい栄養素であるため、意識的に摂取していく必要があります。

サプリメントで摂取する場合は、例えば以下のメーカーのものをおすすめします。

Thorne Research, ピコリン酸亜鉛

Solgar, ビタミンD3

Allergy Research Group, クエン酸マグネシウム

これらはすべて iHerb で購入できるものです。

iHerbで購入できるサプリメントの品質はピンキリですが、これらのメーカーは栄養療法をおこなっているDr.からも信頼されているものなので、比較的安心して摂取できると思います。

クルクミン

クルクミンはインスリン抵抗性の改善が期待できる成分です。

クルクミンとは?
  • ターメリック(=ウコン)の主成分
  • 抗炎症作用が強力で、体内の慢性炎症に効果があることがさまざまな研究で報告されている。
  • 炎症時に放出される炎症性サイトカインの作用によりインスリン抵抗性が形成される。
  • クルクミンの抗炎症作用はインスリン抵抗性の改善に役立つ。

ターメリックはカレー粉などのスパイスに含まれており、どこでも入手しやすく、手軽に摂取できることがポイントです。

オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸

これらもインスリン抵抗性を改善する栄養素としては重要です。

オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸について
  • オメガ3は炎症を抑え、オメガ6は炎症を増幅させる。
  • どちらも必要な栄養素だが、オメガ6の摂取量が多すぎると炎症体質になる。
  • 現代はオメガ6を含むもの(サラダ油など)の使用が増えており、オメガ6の摂取が増えている。

つまりインスリン抵抗性の改善のためには、オメガ3の摂取は増やしてオメガ6の摂取は減らしたいところです。

オメガ3の摂り方はいろいろありますが、サプリメントで摂ることはあまりおすすめできません。

オメガ3の摂り方
  • オメガ3のサプリメントで安いものは、酸化などの品質の問題があるため避けたい。
  • かといって品質が担保されているものは高価で継続しにくい。
  • オメガ3は魚介類に豊富に含まれ、サプリメント並みの量を得ることができる。

オメガ3を豊富に含む魚介類としておすすめなのが、サケやサバです。

魚介類の懸念点として水銀汚染があります。
特にマグロなどの大型の魚は食物連鎖により水銀が濃縮されており、頻繁な摂取は避けた方がいいでしょう。

しかし、サバやサケは水銀濃度が低く安心して食べられます。

魚介類の水銀濃度
出典: 環境省国立水俣病総合研究センター(http://nimd.env.go.jp/kenko/archive/suigin_kenko_dai4.pdf)

またオメガ6については、サラダ油の使用を控えることで摂取量をだいぶ減らすことができると思います。

サラダ油の代替品としてはオリーブオイルがおすすめです。

オリーブオイルはオメガ9系脂肪酸を含むもので、これは炎症反応にはほとんど関与しません。
また、オリーブオイルは酸化に比較的強く、加熱料理もできるため使いやすいと思います。

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補食

補食は低血糖対策では特に重要です。

低血糖を起こす人は血糖値を維持する機能が低下していることがほとんどです。
食事と食事の間に補食を入れることで、血糖値の低下を予防します。

また、補食を継続して血糖値を安定させることで、血糖値の維持機能を徐々に回復させることもできます。

補食のやり方や具体的にどんなものを使えばいいのかを説明していきます。

補食の量と回数

補食の量と回数については次のことを意識しておこなってみてください。

補食の量と回数についての注意点
  • 1回あたりに食べる量が多すぎると血糖値の急上昇を招く恐れがある。
  • 1回に食べる量はひとくち程度を目安に。
  • 食べる回数を分けた方が血糖値の安定化の効果は高い。

補食は少量頻回摂取が鉄則です。

低血糖症状がひどい人ほど、1時間ごと、30分ごととか細かくきざんだ方が良いと思います。

補食のタイミング

補食はお腹が空いてから摂るのでは遅いです。

空腹感を感じるころにはすでに低血糖状態になっています。
そうなると低血糖による症状が現れる可能性が高くなります。

できればお腹が空く時間帯を把握しておき、前もって決まった時間に補食をするというのを習慣づけておくといいと思います。

補食に使いたいもの

補食に使うものによっては、逆に低血糖症状を悪化させる恐れがあります。

補食に使いたいもの・注意点
  • 砂糖を大量に含むものや人工甘味料、果糖ブドウ糖液糖を使用したものはなるべく避ける。
  • これらのものは血糖値を急上昇させる恐れがある(人工甘味料は血糖値は上昇させないが、インスリン分泌を刺激して血糖値を低下させる恐れがある)。
  • 食べるものとしてはお米などのデンプン質なものや、フルーツなど食物繊維を含むものを選びたい。
  • 糖質だけではなく、タンパク質や脂質を組み合わせるとより良い。

補食に使うものとしては、次に具体例を紹介していますので参考にしてみてください。

補食の具体例

干し芋、甘栗、ナッツ

このあたりは補食に使うものとしては定番かと思います。

アーモンド、甘栗、干し芋の写真

手元に何も食べるものがないときなど、コンビニですぐに入手できるので重宝します。

また、ナッツ類はマグネシウムや鉄などの不足しやすいミネラルもあわせて摂ることができます。

MCTオイル

MCTオイルは中鎖脂肪酸のことで脂質の仲間です。

MCTオイルの写真

糖質並にエネルギーへの変換が速いため、糖質と同じように補食に使うことができます。

また、グリコーゲンの貯蔵も促すため低血糖が起こりにくくなります。

MCTオイルは飲み物やスープ、プロテインなどに混ぜて摂るといいと思います。

ただ、MCTオイルは人によっては下痢や胃のむかつきなどを引き起こすことがあるため、少量から始めて様子を見ながら量を増やしていくことをおすすめします。

BCAA

BCAAは分岐鎖アミノ酸のことで、バリン、ロイシン、イソロイシンがこれに該当します。

BCAAの写真

BCAAは筋肉に多く含まれ、エネルギーに変換されやすいという特徴があり、血糖値の維持に役立ちます。

また、疲労感を引き起こすトリプトファンの脳への移行を阻害するため、シャキッとしたいときにもおすすめです。

スープ、お味噌汁

個人的にはスープ、お味噌汁は補食としておすすめです。
魔法瓶に入れておけば、仕事中でもサッと補食することができるからです。

スープだけだと糖質が摂れないので、春雨やあられなどを入れておくと糖質も補充できます。
MCTオイルを入れておいても血糖値の安定に役立ちます。

低血糖がひどくてスープなんか用意する体力がないという人は、お湯を入れるだけでできるインスタントのものを使用してもいいでしょう(添加物が気になるところですが、こだわりすぎて何も摂らないよりはマシですね…)。

また、お味噌汁に下のような魚粉を入れておくと出汁にもなりますし、タンパク質も一緒に摂ることができて(写真の焼あご粉末100gあたりのタンパク質量は73.4gで、これはプロテイン並です!)、タンパク不足の改善にも役立ちます。

この焼あご粉末だと、大さじ1杯でタンパク質がだいたい5~6gは摂取できます。
1日3回このお味噌汁を飲むだけでタンパク質が15~18gは摂取できることになります。

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まとめ

低血糖対策についていろいろと記載してきましたが、一番効果が高く速効性ががあると感じるのは補食です。

やはり、食事と食事の間の血糖値を維持する力が低下している人が多いのではないかと思います。

まずは補食をして体調を良くしてから、他のことに取り組むというのが順番的にはおすすめです。

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