低血糖とは体内のエネルギーが低下している状態。
糖質や脂質が過剰になっている現代の食生活では、慢性的に低血糖を起こしている人が多いというのが現状です。
慢性的な低血糖は疲労はもちろん、不安、イライラ、攻撃的な言動、ブレインフォグなどのメンタル症状や副腎疲労の原因になります。
低血糖を改善するには、定期的にエネルギーを補給することが重要です。
今回はエネルギー補給として優秀なMCTについて解説していきます。
目次
MCTとは?
MCTとはMedium Chain Triglycerideの略語。
MCTはココナッツやパームヤシの種子内の胚乳から抽出されたものです。
脂肪酸には、その分子構造の長さによって短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の3種類に分類されます。
その中でも、中鎖脂肪酸のみで構成される油がMCTです。
MCTの特徴
脂質は糖質と同じようにエネルギー源となりますが、エネルギーへの変換に時間がかかるというデメリットがあります。
糖質は腸から吸収されると、門脈を通って肝臓に運ばれます。
そこでエネルギーに変換されたり、全身の細胞に運ばれたりします。
しかし、脂質は腸から吸収されるとリンパ管を通って全身を巡り、その後血管に入って肝臓に運ばれます。
脂質は糖質に比べて肝臓までの経路が長いので、エネルギーに変わるまでにどうしても時間がかかります。
しかし、中鎖脂肪酸は腸から吸収されると、糖質と同じように門脈を通って直接肝臓に運ばれます。
中鎖脂肪酸は糖質並みにエネルギーへの変換速度がはやいのです。
MCTはなぜ低血糖にいいのか?
MCTが低血糖に効果的な理由は4つあります。
①エネルギーへの変換効率が良い
先ほども記載した通り、中鎖脂肪酸を含むMCTはエネルギーに変換されるのが糖質並みにはやいです。
低血糖対策で血糖値を維持するために食事と食事の間に補食をおこないますが、その際には比較的エネルギーへの変換スピードがはやい干し芋、甘栗、くず湯などの糖質を使うことが多いです。
同様に、MCTも食間のエネルギー補給として使うことができます。
②グリコーゲンを貯蔵できる
食事と食事の間はブドウ糖が供給されないので、体内のブドウ糖の貯蔵形態であるグリコーゲンを分解して血糖値を維持しています。
しかし、低血糖は常にエネルギーが不足している状態です。
そのため、食事から補給されたブドウ糖が次から次へと使われてしまい、グリコーゲンとして貯蔵しておくことができません。
もちろんグリコーゲンは常に枯渇した状態で、血糖値も維持できません。
そこでMCTでエネルギー補給をおこなうとブドウ糖が節約できるので、グリコーゲンとして貯蔵しておくことができるのです。
③糖新生を促進する
糖新生とは、主に肝臓でアミノ酸やピルビン酸からブドウ糖を合成する代謝経路です。
絶食時でも糖新生によりある程度は血糖値を維持することができるのです。
低血糖を起こしている人は、この糖新生がうまく機能していないことが多いです。
糖新生ではさまざまな酵素が働いて代謝反応が進みます。
MCTは糖新生に関わる酵素を活性化して、糖新生を促進することが確認されています。
④インスリン抵抗性を改善する
インスリン抵抗性とは?
まず、インスリンの働きについて簡単に説明します。
ブドウ糖は細胞の中に入り、その後、様々な代謝反応を経てエネルギーに変換されます。
細胞にはブドウ糖が入っていく専用の入口があります。
しかし、常時その入口が開いているわけではありません。
そこでインスリンが必要になるのです。
血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌され、細胞に働きかけてブドウ糖専用の入口を開き、ブドウ糖を取り込めるようになります。
このようにしてインスリンは血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込ませて血糖値を下げるのです。
インスリン抵抗性とは、細胞のインスリンへの感受性が低下している状態です。
簡単に言うと、インスリンが効きにくくなっているということです。
インスリンが効きにくくなっているので、細胞がブドウ糖を取り込む効率が下がります。
そうなるとなかなか血糖値が下がりません。
そこで、血糖値を正常値に戻すためによりたくさんのインスリンが分泌されることになります。
インスリンの過剰分泌により低血糖が起こってしまいます。
つまり、インスリン抵抗性は低血糖を起こす要因のひとつなのです。
MCTは体内でインスリンの感受性を上昇させる物質を分泌することにより、インスリン抵抗性を改善することが報告されています。
MCTの注意点・摂り方
MCTは加熱調理には不向きです。
サラダにかける、スープに混ぜるなど、非加熱の状態で摂取する必要があります。
また、空腹時にMCTを摂取すると胸焼けや胃の不快感の原因になります。
食事中か食後に摂取するようにしましょう。
しかし、それでも人によっては胸焼けを起こしたり下痢をすることがあります。
それらの副作用を防ぐためには以下の2通りの方法を試してみるといいかもしれません。
①少量からスタートして徐々に量を増やしていく
MCTによる胸焼け、下痢を防ぐためには体を徐々に慣らしていく必要があります。
まずは、MCTを1回3g、1日3回摂取することから始めます。
その量に慣れたら、今度は1回5g、10g、15gと量を増やしていきます。
胃腸と排便の調子を見ながら量を調節していきましょう。
②乳化されているMCTパウダーを使う
油をとりすぎると胸焼けや下痢を起こします。
これは油、がうまく消化されなかったり、未消化の油が大腸まで運ばれるためです。
油を消化するためには、胆汁酸で油を乳化する必要があります。
しかし、低血糖を起こしている人は胆汁酸があまり分泌されていません。
そのため、油を消化しきれず胸焼けや下痢を起こしてしまうのです。
MCTにはオイル状のものとパウダー状のものがあります。
パウダー状のものはMCTが乳化されたものなので、オイル状のMCTで胸焼け、下痢を起こす人はパウダー状のものがあっているかもしれません。
パウダー状のMCTは水にも溶けやすく味も変わらないので、水筒に飲み物と一緒に入れてチビチビ飲むのがオススメです。
========================================
MCTには他にもさまざまなメリットがありますが、エネルギー補給としてはとても優秀です。
MCTをうまく活用して低血糖をケアしていきましょう!