今回は睡眠に関するお話です。
睡眠時間は十分にとっているのに、眠っても疲れが取れない、寝た感じがしないという方も多いと思います。
こういった睡眠の質の低下は、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の増加や自律神経失調症、うつ病などの発症との関連が報告されています。
何より日中のパフォーマンスを低下させる大きな要因となります。
実は、睡眠の質の低下と血糖コントロールが悪いことには関連があることが知られています。
睡眠障害の原因はさまざまありますが、睡眠中に血糖値が低下してしまう夜間低血糖により睡眠障害を起こしている人もけっこう多いのではないかと思います。
夜間低血糖が起こると睡眠障害を引き起こす理由や、夜間低血糖対策について解説していきます。
目次
低血糖になると何が起こる?
低血糖とは、血液中のブドウ糖の濃度が低下してしまうことです。
ブドウ糖は細胞のエネルギー源となるため、低血糖になると生命維持が困難な状態となります。
そうならないように人間の身体には低血糖が起こると血糖値を上昇させる仕組みが備わっています。
低血糖が起こると活性化されるのが交感神経です。
交感神経が活性化すると、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。
これらの物質は血糖値を上昇させるために分泌されますが、同時に脳を覚醒させてしまいます。
つまり、低血糖が起こることによって交感神経が活性化し、中途覚醒や睡眠の質の低下が起こるのです。
また、アドレナリンやノルアドレナリンは筋肉の過度な緊張を引き起こします。
筋肉の緊張により歯軋りをしたり、朝起きた時に肩こり、首筋の痛みなどの症状が現れます。
交感神経の活性化は胃腸の動きも止めてしまいます。
低血糖により、朝に食欲がなく朝食が食べられなかったり、便秘がちになってしまうこともあります。
こんな症状があれば夜間低血糖を起こしている可能性が…
・朝起きた起きた時に首筋の痛み、肩こりがある
・歯軋りをする、犬歯がすり減っている
・中性脂肪の数値が低い
・夜間に途中で目が覚める、トイレに頻繁に行く
・悪夢を見る
・朝に食欲がない、朝食が食べられない
・便秘がち
夜間低血糖を起こしている人に特徴的なのが、中性脂肪の数値の低さです。
血糖値が低下している状態、 つまりブドウ糖が不足している状態では中性脂肪を代わりに消費して生命維持に必要なエネルギーを得ているためです。
中性脂肪は糖質からのエネルギー供給が減少したときのためのバックアップとして機能するため、中性脂肪の低下は慢性疲労の原因となります。
また、夜間の頻尿でお困りの方も多いと思いますが、実は「尿意もよおす→目が覚める」ではなく「目が覚める→尿意をもよおす」というパターンもけっこうあるようです。
交感神経が活性化することにより分泌されるノルアドレナリンは不安を増強させます。
悪い夢を頻繁に見るという症状も現れるようです。
夜間低血糖対策
・23時までには寝る
・寝る前の飲酒を避ける
・寝る前にハチミツ、BCAA、MCTオイルを摂取する
・欠食をしない
・日中に補食をして血糖値を安定化させる
夜間低血糖を予防するためには、夜更かしをしないことが重要です。
睡眠中には血糖値を維持するホルモンである成長ホルモンが分泌されています。
成長ホルモンには分泌リズムがあり、分泌のピークは24時と言われています。
そのため、遅くとも23時までには 寝るようにしましょう。
また、グリコーゲンをいかに貯蔵しておくかも重要です。
グリコーゲンとはブドウ糖の貯蔵形態のことで、肝臓に蓄えられています。
血糖値が低下し始めると、グリコーゲンからブドウ糖が切り出されて血糖値が維持されます。
グリコーゲンは糖質を十分に摂取することで蓄えられていきます。
1日3食の食事をきちんと摂り、 適宜間食をしてグリコーゲンの貯蔵を促しましょう(間食に使える食材は以下に記載してあります)。
寝る前にエネルギー源となるものを摂取しておくことも夜間低血糖防止に繋がります。
ハチミツ、BCAA、MCTオイルなどを摂取することは血糖値の維持に役立ちます。
間食に使える食材
・干し芋
・甘栗
・一口大のおにぎり
・MCTオイル
・BCAA
・スルメ
・小魚
干し芋、甘栗、おにぎりは血糖値を緩やかに上昇させます。
一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ回数多めに食べることがポイントです。
MCTオイル、BCAAは糖質ではありませんが、エネルギーへの変換が速いため、糖質の消費を抑えてグリコーゲンの貯蔵を促してくれます。
スルメ、小魚はタンパク質、ミネラルも併せて摂取することができ、間食には理想的です。
忙しくて間食をする時間がないという人は、スープや味噌汁を魔法瓶に入れてこまめに飲むだけでも、血糖値の安定化に役立ちます。
睡眠障害の原因が夜間低血糖だったということはよくあります。
ご自身に夜間低血糖の兆候がないか、まずはチェックしてみましょう。
血糖値の安定化については以下の記事も参考にしてみてください。