体の機能の維持にとって最も重要なミネラルのひとつであるマグネシウム。
マグネシウムの不足はさまざまな症状を引き起こし、慢性的なマグネシウム欠乏は体重増加、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、高血圧、不整脈、脳卒中、脂質異常、動脈硬化、骨粗鬆症、炎症、うつ病およびそのほかの精神疾患の発症に関与していることが報告されています。
マグネシウムの推奨摂取量は男性420mg/日、女性320mg/日ですが、ほとんどの人は摂取量が足りていないようです。
今回の記事では、マグネシウムが不足することで現れやすい10種類の症状をまとめてみました。
マグネシウムが足りているかどうか参考になると思うので、ぜひ読んでみて下さい。
目次
①肩こり、頭痛
筋肉の緊張、弛緩を調整するのがカルシウムとマグネシウム。
カルシウムは緊張、マグネシウムは弛緩の方に作用します。
つまり、マグネシウムが不足すると筋肉が過度に緊張してしまって肩こりや頭痛などの症状が起こります。
②慢性疲労
慢性疲労の原因となる糖質代謝機能の低下。
マグネシウムはブドウ糖を細胞内に入れ込むのに必要だったり、細胞内のミトコンドリアでブドウ糖からATPを作る時に使われます。
マグネシウムはこのように糖質代謝に関わるミネラルであり、不足することにより糖質代謝機能を低下させて慢性疲労を招きます。
また、マグネシウムは副腎から分泌されるホルモンであるコルチゾールの合成に関わります。
コルチゾールは血糖値を維持したりストレスに対抗するためのホルモンであり、コルチゾールの低下は「副腎疲労」という慢性疲労状態を招きます。
マグネシウムの不足はコルチゾールを低下させる原因にもなります。
③不眠症
睡眠を促すホルモンであるメラトニン。
メラトニンの分泌が低下すると、入眠障害が起きたり、生体リズムが崩れることになります。
メラトニンの合成にはマグネシウムが必要です。
ちなみにメラトニンには抗酸化作用もあり、不眠は(原因がメラトニン分泌の低下だとしたら)抗酸化力が低下していることを示します。
④PMSの悪化
女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れると、PMS(月経前症候群)の症状が悪化します。
エストロゲンの代謝酵素であるCOMT(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ)。
この酵素の働きが低下することでエストロゲンの代謝が低下し、エストロゲンが過剰になって女性ホルモンのバランスが崩れます。
COMTが働くにはマグネシウムが必要になるので、マグネシウム不足は結果的にPMSを悪化させることになります。
⑤不整脈、高血圧
マグネシウムとカルシウムのアンバランスは心臓や血管にも悪影響を及ぼします。
マグネシウムが不足してカルシウム/マグネシウムのバランスが崩れると、心臓の筋肉の収縮リズムが乱れて不整脈を起こしたり、血管の筋肉が過度に緊張して血管が収縮し、血圧が高くなってしまいます。
このように、不整脈や高血圧にもマグネシウム不足が関与していることがあります。
⑥便秘
マグネシウムは排便において2通りの作用を発揮します。
ひとつは腸の蠕動運動の調節。
「①肩こり、頭痛」の項目でも記載していますが、マグネシウムの不足により筋肉の過度な緊張が起こります。
それは腸管の筋肉でも同じことで、マグネシウム不足により腸の平滑筋が緊張しすぎて蠕動運動が抑制され、結果的に便秘が悪化します。
もうひとつは便を柔らかくする作用。
マグネシウムは腸の中に水分を引き寄せて便を柔らかくし、排便を促します。
⑦炎症の悪化
アトピー、リウマチ、がん、インスリン抵抗性、認知症など、炎症は万病の元といわれるくらいさまざまな病気の発症に関わっています。
炎症が悪化している組織ではマグネシウムが不足していることが報告されています。
実際に、マグネシウムは炎症を引き起こす炎症性サイトカインの働きを抑えることが知られており、マグネシウム不足は炎症を悪化させる原因となるようです。
⑧足がつる
筋肉のけいれんはマグネシウム不足で起こることがあります。
マグネシウム不足により足がつったり、まぶたがピクピクするといったことが起こることは有名です。
マグネシウムの不足を示す兆候としては比較的わかりやすいものかと思います。
⑨原因不明の痛み
痛みの刺激の伝達にはサブスタンスPなどの神経ペプチドが関わっています。
神経細胞からのサブスタンスPの放出が増えると痛みを強く感じることになり、例えば三叉神経痛などの痛みを悪化させる可能性があります。
マグネシウムにはサブスタンスPの放出を調整する作用があり、痛みに弱い人はマグネシウムが不足していることがあります。
⑩記憶力の低下
記憶に関わる神経であるグルタミン酸神経。
このグルタミン酸神経は何らかの原因により過剰興奮して、異常行動を起こしたり神経細胞自体が壊死してしまうことも。
神経細胞の壊死により、記憶力が低下したり認知症の症状が悪化することが知られています。
グルタミン酸神経の過剰興奮を引き起こす原因のひとつがマグネシウム不足。
マグネシウムにはグルタミン酸神経の過剰興奮を抑えて正常な働きを保つ作用があるのです。
マグネシウム不足によって起こる症状まとめ
以下、マグネシウム不足によって起こる症状です。
- 肩こり、頭痛
- 慢性疲労
- 不眠症
- PMSの悪化
- 不整脈、高血圧
- 便秘
- 炎症の悪化
- 足がつる
- 原因不明の痛み
- 記憶力の低下
こういった症状が慢性化している場合は、一度マグネシウム不足を疑ってみてもいいかもしれません。