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血糖コントロールに悪影響を与えるマグネシウム不足

今回は糖質代謝に関わるマグネシウムの働きについてのお話です。

 

マグネシウムは骨と歯に60%、細胞内に40%、血清中に0.3%、赤血球中に0.5%存在するミネラルであり、体内のあらゆる代謝反応にとって不可欠なミネラルです。

マグネシウムの推奨摂取量は男性で420mg/日、女性で320mg/日とされています(状況にもよりますが、現代の食事・生活習慣では体内のマグネシウム消費量が多いため、これよりお多めに摂る必要があるようです)。

 

しかし、マグネシウムは人体にとって必要不可欠な栄養素であるにも関わらず、ほとんどの場合摂取量は足りていないと言われています(ヨーロッパや北米では推奨量の30~50%しか摂れていないそうです)。

 

加工食品の使用が増加した結果、米国におけるマグネシウムの食事摂取量は過去100年間で約500mg/日から175-225mg/日に減少しているとのことです。

 

また、さまざまな論文では血液中のマグネシウム濃度の低さと糖質代謝能力の低下には関連があるということが述べられています。

その理由について解説していきます。

 

目次

マグネシウムは糖質代謝にどのように関わるのか

マグネシウムと糖質代謝の関係についてですが、マグネシウムは血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きに関与しているようです。

 

ここで、インスリンの働きについて一度説明しておきます。

 

インスリンは厳密には「血糖値を下げるホルモン」ではなく、「細胞の中にブドウ糖を取り込むためのホルモン」です。

細胞のエネルギー源となるブドウ糖は、そのままでは細胞の中に入ることはできません。

細胞にはGULT4というブドウ糖を取り込むための入口があります。

 

しかし、普段は細胞の中に隠れており、入口として機能していません。

インスリンが細胞に作用することでGULT4が細胞の膜の表面に現れて、入口として機能することができるのです。

 

このインスリンがきちんと働くかどうかが、糖質代謝能力に大きく影響します。

 

では、マグネシウムがインスリンの働きにどのように関わるのか順に解説していきます。

 

インスリン分泌

インスリンは膵臓の細胞で合成されて、食事により血糖値が上昇すると分泌されます。

 

このインスリン分泌細胞において、インスリン分泌のスイッチのON/OFFを調節するのがマグネシウムです。

マグネシウムが不足するとスイッチがONになったままになり、インスリンが過剰に分泌されることになります。

 

その結果、血糖値が過度に低下してしまい、低血糖をきたしてしまいます。

 

インスリン感受性

インスリンは細胞の膜の表面に存在するインスリン受容体に結合することにより、細胞に作用します。

インスリンがインスリン受容体に結合した刺激が細胞内に伝わり、その結果GULT4が細胞膜の表面に移動するのです(上記の図参照)。

 

その刺激を伝える際に必要になるのがマグネシウムです。

 

つまりマグネシウムが不足すると、インスリンの刺激が細胞に伝わりづらくなり、インスリンの効き目が低下してしまいます(インスリン抵抗性といいます)。

インスリンが効きにくくなると、食後の血糖値がなかなか下がらず食後高血糖状態になったり、その反動により反応性低血糖を起こしたりと、血糖値が乱高下することになります。

 

炎症を抑えてインスリン抵抗性を改善

体内の炎症は、炎症性サイトカインというタンパク質がきっかけとなって引き起こされます。

炎症反応には免疫反応において非常に重要な役割があるのですが、これが過剰になってしまうとさまざまな不具合が出てきます。

 

また、炎症性サイトカインが細胞に作用すると、インスリンが効きにくくなってしまうことが知られています(インスリン抵抗性)。

 

マグネシウムには過剰な炎症性サイトカインの放出を抑制する働きがあるということがいくつかの研究で示されています。

つまり、マグネシウムが不足することによりインスリン抵抗性が増強されてしまい、糖質代謝に悪影響を与えることになるのです。

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マグネシウムの摂取について

マグネシウムは体内のさまざまな代謝反応に使われるため、非常に不足しやすい栄養素であり、意識的に摂取していく必要があります。

 

以下にマグネシウムを摂取していく上で注意しておくことを挙げています。

 

マグネシウムの吸収には胃酸が必要

ミネラル全般に対して言えることなのですが、マグネシウムを吸収するためには胃酸がきちんと分泌されていることが重要です。

 

ミネラルはイオン化することにより腸から吸収されるのですが、イオン化に必要なのが胃酸なのです。

つまり胃酸不足の場合、マグネシウムを十分に摂取していても不足してしまうこともあり得ます。

 

胃酸が不足する要因として多いのが、ピロリ菌感染や低血糖により自律神経の過緊張です。
(低血糖による胃酸不足については、別記事の「低血糖により起こる様々な症状」にも記載してありますので、参考にしてみてください。)

 

マグネシウム不足を改善するには、これらのことにも対処しておく必要があります。

 

マグネシウムを豊富に含む食材

マグネシウムは海水に多く含まれるため、ワカメなどの海藻類に豊富に含まれます。

また、アーモンドなどのナッツ類や大豆など豆類にも豊富に含まれています。

 

以下にマグネシウムを比較的豊富に含み、日常的に使いやすそうな食材を選んで記載しています。

過食部100gあたりのマグネシウム含有量

あおさ(素干し):3200mg

わかめ(乾燥わかめ、素干し):1100mg

ほしひじき:640mg

削り昆布:520mg

ごま(いり):360g

アーモンド(いり、無塩):310mg

納豆(糸引き納豆):100mg

日本食品成分表2021

 

しかし、マグネシウムの1日の推奨量を食事だけで満たそうとすると、食事にかなり気を配らないと難しいと思います。

そのため、食事だけでは足りない分のマグネシウムをサプリメントで補うというやり方がおすすめです。

 

場合によっては皮膚からの吸収も考慮

マグネシウムは皮膚からの吸収効率が良いミネラルです。

 

そのため、スプレータイプのものを皮膚に塗ったり、マグネシウムを含む入浴剤を入れてお風呂につかるだけでもマグネシウムを補給することができます。

 

参考までに、製品としては以下のようなものがあります。

Life-flo, ピュア マグネシウム オイルスプレー

 

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マグネシウムは糖質代謝と密接に関わる栄養素です。

血糖コントロールがなかなか改善しない方は、マグネシウムの摂取量を増やすことも意識してみましょう。

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