今回は便秘対策のお話です。
理想的な排便は、
- 毎日1日2〜3回出る
- なめらかで柔らかい
- ペースト状
- 黄土色
- あまり臭わない(少し酸っぱい感じ)
であることですが、なかなかそうはいかない人も多いと思います。
便がきちんと出ないと、気分がスッキリしなかったりモヤモヤすることも…。
一般的に便秘対策としては、乳酸菌やビフィズス菌、食物繊維、マグネシウムなどの栄養素の摂取、グルテン・カゼインなど腸の負担になるものを避ける、ウォーキングなどの運動が挙げられます。
しかし、それだけの対策を講じても便秘が改善しないこともあります。
そこで今回は排便の重要な要素である胆汁酸について解説します。
便秘を改善する際に、胆汁酸についてはあまり意識されないことが多いのではないでしょうか。
スッキリとした排便のためには胆汁酸がしっかりと排泄されることが重要なのです。
目次
胆汁酸とは?
胆汁酸とは、肝臓で合成される黄褐色の液体である胆汁に含まれるコレステロールのような構造をした有機物です。
胆汁酸は肝臓で合成された後、胆汁に混ざって胆のうに送られて貯蔵されます。食事の際に胆のうから十二指腸に分泌され、その後食べ物と混ざって腸に運ばれて便の成分となって排泄されます。
胆汁酸の働き
脂肪の消化
胆汁酸には界面活性作用があり、洗剤のように油を溶かす働きがあります。
脂肪のような水に溶けない成分は、そのままでは消化吸収されません。
胆汁酸は脂肪を水に溶かすことができるため、脂肪分を消化液に溶かし込んで消化吸収を助けることができます。
例えば、胆汁酸が少ないと脂肪分が消化吸収されないため、便が白っぽくて油っぽい脂肪便になったり、下痢をすることがあります。
また、ビタミンA、D、E、Kは脂溶性ビタミンであり、脂肪と同じように水には溶けません。そのため、胆汁酸が少ないといくら摂取しても効率よく吸収されないということになります。
殺菌
胆汁酸の界面活性作用は、細菌の細胞膜を溶かす働きもあります。
そのため、胆汁酸には悪玉細菌が消化管内部で繁殖することを防ぐ作用があります。
コレステロールの排泄
胆汁酸はコレステロールを原料に作られています。
胆汁には不要になったコレステロールを便と一緒に排出する役割があるのです。
老廃物・毒素の排泄
体内の毒素や老廃物は肝臓で処理されます。その後、胆汁酸と一緒に腸に分泌されて便と一緒に排泄されます。
悪玉の胆汁酸【二次胆汁酸】
胆汁酸は腸内細菌によって変換を受けます。
肝臓で合成されたもともとの胆汁酸を一次胆汁酸と呼ぶのに対して、腸内細菌により変換された胆汁酸を二次胆汁酸と呼びます。
二次胆汁酸の中には腸の細胞を傷害して発がん作用を示すものや、乳酸菌・ビフィズス菌などの良性細菌の増殖を抑制するものがあることが知られています。
胆汁酸のほとんどが小腸で再吸収されて再利用されるのですが(腸肝循環)、この二次胆汁酸も再吸収されてしまいます。
このように、二次胆汁酸は腸にダメージを与えることにより機能を低下させたり、腸内細菌バランスを崩して便秘を悪化させます。
二次胆汁酸をいかに多く排泄させるかが、便秘改善にとって重要となります。
胆汁酸の排出を促して便秘を改善する食材
先ほどの有害な二次胆汁酸ですが、再吸収を抑えて排泄を促す食材がいくつかあります。
そして、胆汁酸の排泄が増えることは、便のカサを増やして便秘を改善することにも繋がります。
二次胆汁酸の排泄を促す食材には以下のようなものがあります(カッコ内は有効成分)。
- マイタケ(MXフラクション)
- こんにゃく(グルコマンナン)
- 海藻類(アルギン酸)
- もち麦、オートミール(β-グルカン)
ちなみに、β-グルカンは腸内細菌の一種である酪酸菌のエサとなり、酪酸を生成します。
酪酸は大腸のエネルギー源となり蠕動運動を促すため、この点においても便秘を改善する効果が期待できます。
これらの食材は少しずつでもいいので、毎日の食卓に取り入れることをオススメします。
便秘対策のサプリメントや市販薬に頼るよりは、コスパもかなり良いですし、無理なく継続できると思います。
※マイタケ、もち麦は試してみて効果が高かったと思います。あくまで個人の体感ですが…。