ダイエットを成功させるには食事の摂りかたにコツがあります。
そもそも体重が増えてしまう大きな要因となるのが血糖値スパイクです。
この血糖値スパイクをいかに抑えるかがダイエットの成功の可否を分けるといっても過言ではありません。
今回は血糖値スパイクとは何か、血糖値スパイクを抑える方法について解説していきます。
目次
血糖値スパイクとは?
血糖値スパイクとは、血糖値の急激な上昇のことです。
下図は血糖値の推移を表したグラフになりますが、12時のあたりで血糖値の急激な上昇が見られます。
血糖値スパイクが起こると、それに伴ってインスリンが大量に分泌されます。
インスリンには血糖値を下げる働きがありますが、本来は細胞内へのブドウ糖の取り込みを促すホルモンです(インスリンの働きについては以下の記事で図説していますので参考にしてみて下さい)。
細胞内に取り込まれたブドウ糖は代謝されてエネルギーに変換されます。
しかし、ブドウ糖が大量に細胞内へ取り込まれると消費しきれないものも出てきます。
消費しきれないブドウ糖は貯蔵糖であるグリコーゲンや中性脂肪に変換されて、エネルギー源として貯蔵されます。
まとめると、以下のようになります。
血糖値スパイク
↓
インスリンの大量分泌
↓
細胞内へブドウ糖が大量に流入
↓
中性脂肪の蓄積
中性脂肪は脂肪細胞などに蓄えられて脂肪細胞の肥大化、体重増加という流れになります。
もし血糖値の上昇が緩やかであればブドウ糖のエネルギーへの変換は効率よく進むため、中性脂肪は貯まりにくくなります。
血糖値スパイクを起こしているかどうかを見分けるには?
上図の血糖値の推移を表したグラフのように、血糖値スパイクを起こすとその後に反応性の低血糖が起こります。
これは必要以上にインスリンが分泌され、血糖値が下がりすぎたためです。
低血糖は眠気、倦怠感、集中力の低下、肩こり、手汗、不安、イライラなどの症状を引き起こします。
これらの症状が日常的にある人は血糖値スパイクを起こしている可能性があります。
また、アボットが販売している FreeStyle リブレ などの持続血糖測定器で間接的に血糖値を測定することができます。
これは皮膚に貼り付けたセンサーにより24時間連続して14日間血糖値を測定してくれるものです(正確には血液中のブドウ糖濃度ではなく、細胞を満たしている間質液中のブドウ糖濃度を測定)。
測定結果はこのような感じ。
FreeStyle リブレ により、血糖値スパイクを起こしているかどうか判定することもできます。
FreeStyle リブレ の購入に関しては注意点があります。
ネット上で販売しているケースも見られますが、品質管理の問題もあるので、きちんとした販売資格のある薬局で購入することをおすすめします。
血糖値スパイクを起こす原因
血糖値スパイクを起こす要因として、以下の2つが大きなウェイトを占めていると思います。
順に解説していきます。
糖質の多い食事、単純糖質の摂取
血糖値は糖質の摂取によって上昇します。タンパク質の摂取で少し上昇し、脂質の摂取ではほとんど上昇しません。
つまり、食事の内容が糖質に大きく偏っていると血糖値は上昇しやすくなります。
また、砂糖や果糖などの単純糖質はお米などに含まれる糖質であるデンプンに比べて消化吸収のスピードが格段に速く、砂糖や果糖を含むお菓子などを食べるとやはり血糖値は急上昇しやすくなります。
かといって、糖質の摂取を極端に減らすと、インスリン抵抗性(後述)を招き、血糖値スパイクを起こしやすい体質となってしまいます。
糖質制限のしすぎは脂肪肝の原因!?〜糖質制限と非アルコール性脂肪肝の関連について〜
糖質も適度に摂りつつ、タンパク質や脂質もバランスよく摂ることが重要です。
インスリン抵抗性
インスリン抵抗性とは、細胞のインスリンに対する反応がにぶくなっている状態のことです。
つまり、ブドウ糖の細胞内への取り込みが滞って血糖値が下がらずにどんどん上昇し、結果的に血糖値スパイクを起こすことになります。
インスリン抵抗性となる原因はさまざまですが、糖質代謝に必要な栄養素の不足、脂肪肝や腸内環境の悪化による慢性炎症、高脂肪食などで起こります。
インスリン抵抗性の改善に役立つ栄養素・食材
インスリン抵抗性の改善に役立つ栄養素はさまざまありますが、特に下記のものは重要です。
・ビタミンD
・マグネシウム
・亜鉛
ビタミンD、亜鉛はインスリンの合成、分泌に関わる栄養素であり、マグネシウムはインスリンが細胞に作用する際に必要な栄養素です。
いずれも非常に不足しやすい栄養素であり、意識的に摂取していく必要があります。
また、慢性炎症はインスリン抵抗性の形成の大きな要因となるため、抗炎症作用を持つ栄養素の摂取も大切です。
炎症を鎮める栄養素としては、クルクミンがさまざまな研究で強力な抗炎症作用を示すことが報告されています。
(参考文献)
Curcumin and Intestinal Inflammatory Diseases: Molecular Mechanisms of Protection
Turmeric polyphenols: A comprehensive review
クルクミン自体は吸収効率が悪く、体内に入っていきにくいものですが、腸の炎症を抑える効果が強いことが知られています。
また、ターメリック(ウコン)の主成分であり、量販店でも入手しやすく手軽に摂取できることもポイントです。
オメガ3系脂肪酸も炎症を抑える栄養素としては重要です。
オメガ3系脂肪酸は主に魚介類に豊富に含まれます。
しかし、魚介類は水銀汚染が心配であり、特にマグロなどの大型の魚は食物連鎖により水銀が濃縮されているため、頻繁な摂取は避けたいところです。
そこでおすすめなのがサバやサケです。
サバやサケは水銀濃度が低く、年間を通して手に入りやすい魚です。
また、EPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸の含有量もかなり多いので、積極的に取り入れたい食材です。
無理にカロリー制限をするよりは、食事の摂り方を改善した方がダイエットには効果的です。
まずはご自身に血糖値スパイクが起きていないかチェックしてみましょう。
血糖値スパイクがあれば、食事・栄養の改善によりダイエット効果が高まるはずです。